笛のおっちゃんのブログ

落書き帳に近い面もありますが、半世紀以上にわたり一応我家のメシのタネになってきた様々な笛の話、下手っぴなデジカメ写真などなどをランダムにアップしています。

ΚΟΛΟ 民族音楽舞踏団

2月11日
 国立オリンピック記念青少年総合センター、と云うところに行った。 以前にも何度か訪れているところだが、こんなに長ったらしい名前が付いているとは思わなかった。
 元はと言えば、東京オリンピックの時に選手村として作られたところのはずだ。 だから、当然ながら宿泊施設が有って、ホール、会議室のようなもの、レストランなども有る。

 毎年この時期に、知り合いの方から東欧系の民族舞踊のコンサートの招待券を頂くので、申し訳無いと思いつつ、今年も出かけていった。
 今回は「セルビア国立コロ民族音楽舞踏団」の公演だったが、そんな事でこのところ毎年続けて、ルーマニアやハンガリーの民族舞踏など、何度かこの種の催しを鑑賞する事が出来た。

 セルビアと云えば、旧ユーゴスラビアの崩壊以来、度重なる紛争で、大変なダメージを受けているはず、と云う程度の予備知識しか無くて、はたしてそんな状況で、民俗芸能などがしっかり受け継がれているのだろうか、などと云う感じもしないではなかったが、そんな危惧、疑問をすっかり吹き飛ばしてくれる、素晴らしいステージであった。

コロ-1

 二つの文字、三つの宗教、四つの言語、五つの民族、六つの共和国、七つの隣国を持っていたと云う、旧ユーゴで設立された舞踏団だけあって、その踊り、衣裳、音楽、楽器など、それぞれが、さまざまな要素を受け継いでいることが実感出来るステージだったと思う。

コロ-2
 
 ついつい音楽の方に偏ってしまうが、歌のメロディーは単純、明快で、音域も比較的狭い。 音階は普通の長調や短調ではなく、どちらかと云えば教会旋法に近いものがメインで、ユニゾンでゆったり歌われる曲には、グレゴリオ聖歌のような趣も有った。
 それに時折、あのホラスタッカート(グリゴラシュ・ディニク作曲)やエネスコのルーマニア狂詩曲などに出てくるような、増二度を含むフレーズが出てきて色を添える。
 増二度と云うとジプシー音階が連想されるが、今回のコンサートでは、1曲だけ「ジプシーの踊り」と云うのが有って、膝(太股や靴の裏をで叩きまくるダンスを披露していたが、それ以外はあまりジプシー色はなかったように思う。


ホルン五度
 ホルン五度と云うのは二声のハモリ方のひとつで、元はと云えば、昔のバルブやピストンの無いナチュラルホルンで演奏可能な音を辿ることで生まれたパターンだ。
 例えば上の声部が「ミレド」と云う場合に下の声部が三度下のドから「ドソミ」と云う風に下がる事になって、その際、ソとレが五度の間隔に成るところからホルン五度と云われるように成った。
 この五度を含むちょっと変則的なハモリ方が、心地よく響いて印象的なので、他の楽器でもよく使われるようになった。

 ひとつ興味深かったのは、楽器もコーラスも二声でハモるところが結構あって、なぜかいわゆる「ホルン五度」が頻繁に出てきた事だ。

 リズム的には、2拍子のダンスの他に、5拍子、7拍子、9拍子と云うような奇数拍子が目立った。 それもかなり速いものも多く、意識しないで聞いていると7拍子と云ってもちょっと訛った3拍子に聞こえるし、9拍子も、普通の3+3+3ではなくて、2+2+2+3とか3+2+2+2などで、これもテンポが速いと少し訛った4拍子に聞こえる。 ぼんやり聞いているとその訛りにも気が付かないほどで、事実、大部分の人はそんな拍子などは気にもせずに聞いていた(見ていた)のだろう。
 そんな複雑な拍子がステップとぴったり合っているのにも驚くが、ダンサー達はそんな事は全く意識もしていないのだろう。 要するに身体に染みこんだ拍子であり、リズムであるわけだ。
 
コロ-3

 一番興味を引かれたのは楽器だ。 今回のバンドは10名の編成で、今まで見た中では一番大編成であった。 バイオリン2、チェロ、コントラバス、フルート、クラリネット、アコーディオン、パーカッション、笛2、と云う編成で、クラリネットと笛の奏者は他の管楽器を色々持ち替えていたようだ。 バンマスはバイオリンの男性で、終始スタンドプレイでリードしていた。 もう一人のバイオリン、チェロ、フルートは女性だった。

 プログラムの中にバンド演奏が2曲入っていて、色んな民族楽器のソロも聞けた。
 意外だったのはバグパイプ(ガイダ、gaida or gajda)が出てきた事で、目が悪いのでよく分からなかったが、袋の部分は結構大きいわりに、笛(チャンターと云うらしい)はそのわりには小さかった。 聞いていると、その増二度を含む音階も出てくる。 バッグパイプでクロスフィンガリングが利くのかどうかは不明だが、他のヨーロッパのバッグパイプとは穴の位置が違っているのかも知れない。 
 こちらのサイトでは残念ながら演奏の動画はないが、バッグパイプの音は聞ける。

 次に驚いたのは、世界一発音が難しい笛、と云われているネイが出てきた事で、この時は別のマイクを立てて、結構長いソロをとっていた。 
 ネイと云う楽器を始めて知ったのは、たしかブルガリアの楽器としてであったと記憶しているが、実際にはトルコ、イランなど、結構多くの国に存在しているようだ。 後で調べたところ、このセルビアのネイはカヴァル(Kaval)と呼ばれているらしい。
 カヴァルに関してはこちらのサイトが参考になる。

 オカリナも出てきた。 多分、G管だと思ったが、ネットで検索したら動画が出てきて、フィンガリングは我々のオカリナとは違って、ホイッスルと同じシステムのようだ。
 セルビアオカリナこちらのサイトで動画を見る事が出来る。 ステージで吹いていたのはG管だったが、このサイトで吹いているのはD管のオカリナだ。

 圧倒的だったのはホイッスルで、アイリッシュ音楽以外でこんなにホイッスルが活躍しているとは、不覚にして知らなかった。
 B♭のホイッスルで演奏された、ポルタメントや装飾音符をふんだんにちりばめた、ちょっとハンガリア風、と云う感じのするバラードも良かったが、D管(多分)を使った速い2拍子の曲で、高速のスタッカートのフレーズを披露したのは、まさに名人芸であった。
 このホイッスルはあちらではフルーラと云うらしいが、他でも随所に活躍していて、バンドの中でもかなり重要なポジションを占めているようだった。
 フルーラの動画はあちこちで見る事が出来るが、こちらが秀逸だろうか。
 これも後で調べたのだが、このホイッスル(Frula)はセルビアの音楽では、かなりポピュラー楽器のようだ。見た目の感じでは、木製のようで、継ぎ目の部分は金属で補強してあるようだ。
 フルートは若い女性が吹いていたが、マイクのバランスのせいか、あまり聞こえてこなかった。

 話が楽器や音楽に片寄ってしまったが、ダンスも衣裳も、洗練されたトップクラスのものであったことは云うまでもない。

 キリル文字はさっぱり分からないが、表題の「ΚΟΛΟ」は「KOLO」に相当するらしい。  コロと云うのはこの団体の名前に成っているが、どうやら2拍子の速いステップのダンスの名前でもあるようだ。
 
 画像は当日のチラシをスキャンしたもので、あまり文字ばかりで殺風景かなと思って挿入しているが、権利的に問題が有るようならば、即刻引き上げる用意がある。

画像の取り込みには CANOSCAN 8200F を使用

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  1. 2010/02/12(金) 13:15:58|
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ハンガリー民族舞踊

090214-ハンガリー舞踊団-01
 根岸線の関内駅の近くに有る関内ホールと云うところへ行った。

 このところ毎年招待券を頂くので、年中行事に成った感があるが、ハンガリー民族舞踊と云うものを見るためだ。

 出し物は年によって、ハンガリーだったりルーマニアだったりするが、大体は東欧のジプシーのダンスが多いようだ。

 今年はハンガリージプシーの団体で、30人近いダンサーと楽団が6、7人の団体で、多分全員がジプシーだろう。

 今回のグループは、どちらかと云えば男性のダンスが主体と云えるだろう。 ダイナミックで速い動きのダンスが多かった。

090214-ハンガリー舞踊団-02

 最初、前よりの客席から全員が歌いながら出てきた。 なによりものには驚いたのは、オペラ歌手のベルカントにも負けないその声量で、てっきりPAを使っているのだと思ったが、実はそうではなかった。 専業の歌手とかではなくて、踊りがメインの人たちなのだからすごい。 こう云う連中がミュージカルでもやったら恐ろしいことに成るだろう。

090214-ハンガリー舞踊団-03

 この手のジプシー系の踊りには、膝(太股?)や靴の裏を驚異的な速さで叩きまくるなど、やはり動きに共通点があるようで、そんな意味では特に新しい発見はなかったが、スピードと迫力には圧倒された。

090214-ハンガリー舞踊団-04

 音楽はもちろん生演奏の楽団で、バイオリンが4人に、クラリネット、ツィンバロン、コントラバス、当然ながらバイオリンのトップがバンマスと云う編成だ。 一部、パーカッションと云うか、ミルクの壺みたいなのを叩いていたが、多分ダンサーの一人だろう。
 クラリネットはキーから考えて、とてもB♭管とは思えない。 おそらくC管だろう。
 バイオリンの一人がなにやら妙な構え方をしていた。 普通、バイオリンは楽器を顎で挟んで水平に持つのだが、この奏者だけは顎に挟んだりしないで縦に構えている。 他の三人はメロディー担当のようだが、この第四バイオリン(?)氏だけはリズム、もしくはハーモニー担当のようで、他の三人がシャカリキになって弾きまくっているのに、一人だけのんびりとバッキングみたいなことをやっているのがおかしかった。
 意外だったのはコントラバスだが、すべてボーイングで、ピチカートは一切無かった。
 
 いつもそうなのだが、客の入りは、お世辞にもあまり良いほうではなかった。 しかし、おそらくは会員制にでもなっているのだろうか、拍手のタイミングなども心得ていて、この種の催しにはよく馴れている人達と思え、大いに盛り上がっていた。

※ これらの写真はチラシをスキャンしたものなので、もし不都合が有れば引っ込めますのでご一報お願いします。

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  1. 2009/02/14(土) 20:00:00|
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約半世紀に渡り、スタジオミュージシャンをやっています

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